日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年7月12日話す前にまず自分なりの考えをまとめよう!

今回は職場における話し方で、話す前の心構えとして大切なことについてお話します。

このことをやらずに話をしてしまうと、相手からこんな反応が返ってきます。

「で、あなたはどうしたいの?」

こう聞かれた本人は、

「えっ、だって、言われたことをやっただけなんだけど・・・」

「そんなこと言われても、どうしたらいいかわからないよ・・・」

と心の中で思うことでしょう。

もしあなたが上司などから上のような質問をされたことがあるなら要注意です。

仕事をする上で大切なことは、まず自分なりに考える、ということだからです。



 

先日、ある会議の司会をしていて、「これは困ったな」と思うことがありました。

議案は、当社の複数の部門とお取引のあるお得意様との窓口はある事業部門に一本化すべきか、それとも事業部門ごとにお得意様とやりとりすべきか、というものでした。

私が困ったのは、この議案の提示者は問題提起だけして具体的な解決案を示していなかったのです。

この状態では「では皆さん意見をお願いします」と促してもなかなか意見は出ません。

案の定、はじめは全く意見が出ませんでした。

幸い、ある参加者がいい意見を言ってくれたので、窓口一本化で決まったので事なきを得ましたが。

 

たまたま、いい意見を言ってくれる人がいたからよいものの、こうした提示の仕方では会議は生産的なものにはなりません。

会議に議案を提示する場合、次のことが必須です。

・何を議論するかという論的を明確かつ具体的にすること

・その論点の解決案を提示すること

・提示案のメリットとデメリットなどの判断基準を示すこと

起案者は、最低限ここまで用意して会議に議案を提示すべきです。

 

先日の起案者は先に述べたように、どちらがいいですか?、という提示の仕方しかしていません。

会議後、起案者に、なぜこのような提示の仕方をしたのか確認しました。

すると、ある取締役から次回の会議でこれを議論したいから出しておいてくれと言われたので出した、という回答でした。

この起案者は「人から言われたことをやった」だけだったのです。

しかし、これでは仕事になっていません。

仕事では自分なりの「付加価値」をつけることが必要です。

役員に指示されたとしても、その件について自分なりに考えて、判断に必要な要素を考え、比較検討して結論まで出すべきです。

そこまで準備して会議に提示すれば、参加者も意見が言いやすく、効率的・効果的な会議ができます。

 

この例と同じようなことが「どうしたらいいでしょうか?」という相談にも言えます。

どうしたらいいか人に聞く前に、自分なりに調べたり考えたりすべきです。

そうすると、相談する時も「この考えでよいでしょうか?」という話し方に変わってきます。

相談された方も格段に答えやすくなります。

しかし、とても残念なことに、世の中には「どうしたらいいでしょうか?」という質問をする人がとても多いのです。

本当にどう考えればいいのかわからない、ということもあると思いますが、大半は自分で考えていないケースが多いように感じます。

どんな場合でも、まず自分なりに考える。

そうすれば、ご自身の思考スキルが向上しますし、ビジネスコミュニケーションも格段に生産的なものになるでしょう。
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